上海物語の最近の記事

 上海物語 最終回

| コメント(3)


     上海物語



      魔都の盲妹



 摩鏡黨の女將である仕立屋の婆さんの處に買はれて來たのは、姑娘と呼ぶにもまだ若すぎるやうな子供であった。そし てそれが例の盲妹(モンマイ)だったのだ。
 廣東出身のその子供は、未だ物心もつかないうちに藥品で 兩の眼をつぶされ、全く見へなくなつてゐる。
仕立屋の二階の狭い部屋ではじめてその娘を見た時に、私 は彼女が一糸まとわない裸體であるのにびっくり させられた。
 支那人は娼婦と云へども羞恥心が強く、なかなか下帶までは取らないのは前にも書いた通りであるが、その盲妹は全裸 で、前を隠さうともせずに見へない目をこちらへと向けたのである。
 婆さんは、その娘には全て仕込んであるから黙って寝臺に横たはつてゐれば後は何もせずともかまはないと云ってゐた。だから、私はまさかこんな小さな子供だとは思はなかったのだ。 
「名前は何て云ふんだい?」

上海物語

| コメント(4)


     上海物語


黒と白との活春宮 


 黑人は、かなり大柄で、しかしなかなかに愛嬌のある顔をしてゐた。早くも上半身裸となって、落ち着かないのかウロウロしてゐる。さうかと思ふと我々の方を向いて眞白な歯をむき出し、ニッと笑ったりもするのだが、これから犯される姑娘にしてみれば不安でたまらないのだらう。裸體の上から上着だけをまとってブルブルと震へてゐる。
 見物する我々は、陸軍のN大佐と、下士官三名。そして私 である。
一般的に云っても支那の娘は極めて陰毛が薄いのだが、それでもこの姑娘は身體付きも顔も、未だ可愛らしいほんの小娘である。毎日の摩鏡術で陰部のみは發育し、角先生をも充分に受け入れられるやうにはなつてゐるものの、男の手には穢されてゐない處女なのだといふのは前もって説明しておいたので、いずれの面々も、それこそ自分がかはりたさうな顔をして待ちかまへてゐる。
 賞に前代未聞の見せ物と云ふべきであらう。 日頃は『支那に王道楽土を建設する爲......』とか『大亜細亜主義が......』とか、しかつめらしい顔をして云つてゐる大佐もかうなるとてんでだらしがない。ヒゲ面をニタニタさせて部下につまらない冗談を云っては相好をくづしてゐる。
 大體においてかうした高級將校といふのは極端な助平親父 ばかりである。戰場だといふのに妾を同道するなぞはあたりまへで、大日本帝國の聖戰遂行の為に軍に物資を納入する仕事をしてゐるこの私でさへ、時として女衒の真似事をさせられてしまふ。
 おつと、口がすべり過ぎたやうだ。何處に憲兵隊の目がないとも限らない。このノートは別に誰に見せるといふものでもないが。

上海物語

| コメント(2)



     上海物語


摩鏡黨綺譚 

 そんな或る日の事である。
 摩鏡黨はもう見飽きた。今度は男とやるのを見せてくれ ――といふ、軍の大佐の要望で、私は顔見知りとなった例の仕立屋の女將を訪れた。通常の倍額以上の金を支挑ふ事でやつと話はまとまったのであるが、上海では男女の性交を見せ るのは『活春宮』(ワシンコン)といつて、やはりかうした見せ物の一種として秘密クラブなどでよく行なはれてゐる。
 それにもかかわらず、私が何故、女將にたのんだかといふと、一つにはその大佐が例の姉妹の姉の方に執着してゐたのと、今一つは安全の為である。近頃では上海も抗日テ口が横行して、うっかり歩けないやうな狀態なのだ。
 ある意味においては、貰った金には律義なその女將は私の顔を見てニッと笑ったのだった。
 上海の淫賣窟やかうした處の若い女といふのは主として支那でも貧しい東北部から買はれて來る。さうした農村では湯浴みをしないため、彼女らは恐しく不潔であり、鼠蹊部のあたりにはそれこそ垢が苔のやうにこびりつき、急に入浴した所で落ちないのである。
 さういふ小娘を買ひ取るのは、あるいは小金をためた役人であり、かうした女將である。彼等は豆油を使って股の垢を洗ひ落とし、綺麗に磨き上げて客を取らせたり見せ物にしたりして、自らは阿片の煙の生み出す束の間の夢に耽るのである。さうした處は支那人は恐しくプラグマティックであるのだ。
 広東などでは盲妹といふのも未だに行はれてゐると聞く。
 盲妹といふのは幼い頃に買ひ取った小孩(シャオハイ)の目を逃げないやうに劇薬や針でつぶし、快楽の為の人形に育てるといふ、恐るべき存在である。私は後にその盲妹を抱く事になるのだが、ここはとりあへず私の見た活春宮へと話を戻さう。


                      続く

上海物語

| コメント(3)


     上海物語


摩鏡黨綺譚 



上海は現代の支那社會のあらゆる惡を集めた『魔都』であり『魔窟』である。阿片窟と、テロリズムと、ありとあらゆる國のスパイと、そして野鶏(ヤーチー)と呼ばれる娼婦たち。
 表通りはともかくとして、佛租界のあたりの裏に一歩、足を踏みいれれば、そこにはおよそ、日本人には想像もつかないやうな猟奇と快樂とが蠢ひてゐる。
 一般的に云つて支那人といふのは勤労を嫌ひ、怠惰に流れる傾向がある。僅か一回分のモヒ(モルヒネ) 或ひは阿片の爲には自分の娘に春を賣らせる事など平氣で、現在の支那の疲弊と堕落もさうした支那人の性情に據る處が多い。
 特に上海は支那の惡の最先端を行く都市であり、私も樣々なる惡の諸相を見聞して來た。さうした出來事のいくつかを、筆の赴くままにとりとめもなく書き散らしてみやう。
 魔都、上海を象徴する秘密ショウとして有名な存在に南京路の『摩鏡(マーチン)黨』がある。南京路と云ふのは、東京ならば銀座通りにあたるやうな繁華街であるが、その裏手、小便くさい路地のつきあたりにある小さな仕立屋が何を隠さう、その摩鏡黨の秘密クラブなのである。
 私がさる同邦人の紹介でその摩鏡黨を見物したのは軍を除隊したばかりの頃であった。 彼――假に長嶋としておかう、長嶋はこの上海で日本語學校の教師をやってゐる中年男であるが、上海の暗黑街に良く通じてある。何しろ「女を見たら 淫賣と思へ、男を見たらスパイと思へ」と云はれる上海の事だ。彼にしてもその實、何をやってあるのかはわかった物ではない。噂によればモヒの密賣人だといふ話もある得體の知れない男だ。
 摩鏡黨といふのは早い話が女だうしの性戯を見せるショウである。

上海物語

| コメント(2)


     上海物語


奇妙なコレクション

 私の家には、アルバムに貼られていない戦前の写真が幾葉 かあります。いずれも、ほとんど薄茶色にまで変色して微かに画像が認められるくらいにまでなっておりますが、それら の写真は父の遺品として、桐の箱におさめられ、金庫の一番 奥にしまわれております。
 その木箱の存在に私が気付いたのは、六十八歳で死んだ父 の葬儀も終え、遺品の整理をしていた時でした。上海で現地除隊した後も、日本軍関係の仕事をしていたという父の、当時の地図や書類の山の中から、それは出てきたのです。
 ただ単に山積みにされた書類の中で、それだけ箱におさめられた、ひょっとして何か大事なものでは――そう思いながらフタを開けた私の目に飛び込んで来たのは、何と極彩色の枕絵でした。
 戦後、引き揚げてからは苦労に苦労を重ね、やっと埼玉県の片隅に小さな工場を持った生真面目な父の遺品としては不似合いなその枕絵は、そう、丁度昔の葉書き程の大きさで、百枚以上もありそうです。時代的には明治以降のものらしく、えび茶のハカマ姿の女学生のものなども混じっております。
 その他にも、表紙の取れたような猥本。粗末な紙に青いインクで印刷されているのはいわゆる『スーハー本』と呼ばれるポルノグラフィーです。何冊かの大学ノートには、きちんとした万年筆の筆跡で古典的な漢文のポルノグラフィーが書き写されていたりして、結局それは私の父親の隠された一面をうかがわせる奇妙なコレクションだったのです。
 それらの中には上海事変以降、日中戦争の時代のほとんどを支那で過ごした父の経歴を物語るように、数枚の支那の春画も含まれておりました。
 日本の春画においては、男女両性ともにその性器は極端に誇張して描かれているというのは有名ですが、中国の春画においては逆に、まるで子供のように描かれます。ほとんど無毛の女の局部に、細くて小さな男のペニスが挿入されている 様は、むしろ上品でさえありました。
 そしてそれらの種々雑多な春画・春本の間に埋もれるようにして、古びた幾葉かの写真があったのです。

最近のコメント


コーヒールンバで珈琲を淹れる

コーヒールンバ/ウイリー・ジャパン

 
手網焙煎 コーヒーとポップコーン

 
ホンジュラスとキャラメルラスク



炭焙モカブレンド 400g2080円
モカマタリに、コロンビアとブラジルを当量ずつ。今では極めて少なくなった伝統の炭焙で、深煎りの極みに、苦味の中から仄かな甘みが味わえます。 400gのお徳用です。
  
 
北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている
貴方はご存知だろうか?金正恩が150以上の国々と通商関係を結んでいることを。首都平壌が資源バブル に沸き立っていることを。日本とアメリカが彼らの核開発を援助したことを。 「狂人的な独裁国家」という北朝鮮像はインフォテインメント(報道番組を偽装したワイドショー)の中にしか存在しないことを。税・送料こみ1870円
略奪者のロジック 超集編 1650円
「ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち」です。まさに今現在の日本の状況を冷静に見極め、何が起きているのかを鋭く考察した注目の一冊 となっています。
二ホンという滅びゆく国に生まれた若い君たちへ ―15歳から始める生き残るための社会学―「君たちが対峙する脅威とは、外国資本の傀儡と化した自国政府であり、生存権すら無効とする壮絶な搾取であり、正常な思考を奪う報道機関であり、人間性の一切を破壊する学校教育であり、戦争国家のもたらす全体主義である」(本書「まえがき」より) 税・送料こみ1650円
chichinoko_210.jpg
お湯に溶かすだけで「ほぼ」牛乳! カフェオレやカフェラテ、ロイヤルミルクティーが簡単に作れます。
丹那牛乳の全脂粉乳200g1120円
続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学― 私たちが直面する「重層化する危機」とは何なのか? もはや国家の消滅は避けられないのか? そして私たちはこの時代を生き抜くことができるのか? 本書はそれに明晰に答える最高峰の社会学テクストである。 税・送料こみ 1650円
放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか- 原発事故は終わっていない。それは今なお進行する現実であり、身近に迫るカタストロフなのだ。なぜ国家は何もしないのか、なぜ報道は何も伝えないのか、なぜ国民は何も考えないのか、社会はどう変わるのか、経済はどう動くのか、そして我々はどうなるのか......... 答えは本書にある。 税・送料こみ1870円

_DSC41521_210.jpg


<蔵元 田中屋本店> 三年漬梅干 
17-23粒袋入 税・送料込み1320円
塩だけで漬けた梅干しです。添加物一切ナシ。豆州楽市でどうぞ

  
ポルノ雑誌の昭和史 (ちくま新書)



300円で買える
メッセージアート



まりなちゃんコレクション



ネットゲリラの缶バッヂ



ゲバラ缶バッヂ



281_AntiNuke ギャラリー

アーカイブ

  帆船Ami号
  ずっと富士山
  ピジョンブラッド
  電飾トロピカル帝都
  偽霊幻裏道士
  淫華 チャイナドール
  トワイライトタイム
  上海物語