淫   華

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    淫   華

『揉』の章    聖ミカエラ女学院に黄金の聖水が降る時
『搖』の章    尻ふり四千年・中国娘エスノ・テクニック

『哭』の章    チャイナ・シンドローム イン ヨコハマ
『緊』の章    ダイチュウショウ、三重インシンの秘密
『看』の章    磨鏡術と処女陰唇と甘く熟れた蜜の味と
『檸』の章    学院長藤乃女史の淫らすぎる夜の想い出
『幌』の章    いくつもの陰謀術数、そして快楽の味と
『謀』の章    合宿シンガポール旅行のアブナイ夜遊び
『豬』の章    カリマンタン エロティック・クルーズ
『破』の章    コモド大トカゲが見ていた、喪失の儀式
『咬』の章    ヨコハマ発、あらたなる旅立ちに向けて

あとがき/肉体改造論序説  



編集者を辞めて小説家専業だった時期なので、この頃おいらは毎日のようにアンティーク・ショップ巡りをしていた。割と高級なアンティーク・ショップのオーナーというと、明治の元勲の子孫とか、そういった人も多い。もっともそれは日本だけじゃなくて、タイでもそうだった。王室の関係者の店で、なかなか良い品物を買った事があるんだが、それに味をしめたオーナーが、タイの王様が乗っていたという1930年代のロールスロイスをおいらに売りつけようとして、断るのに苦労したw タイでは王室以外はロールスロイスを持てないので、国内では処分できないらしいw



   『檸』の章    学院長藤乃女史の淫らすぎる夜の想い出


 藤乃典子学院長は、その力、衰えたりとはいえ世界の海に君臨したあの『藤乃商船』の藤乃一族の末裔であった。
 株価こそ低迷しているものの、構造不況の海運業界にあって、藤乃商船は便宜置籍船や混乗といったコストダウンを積極的におしすすめ、かつ、莫大な土地資産を運用しての不動産業など、それなりに危なげのない一部上場会社である。
 もちろん、藤乃一族はその筆頭株主であり、典子はその当主。
 じっさいの業務は分家すじの叔父である藤乃康則がおこなっているが、あくまでも典子が本家の当主であり、三十をまわった年齢からいっても、そろそろ婿をもらって財産を受け継ぐ子孫を作らなければならない身の上だ。
 だが、彼女が今、もっとも熱中しているのは聖ミカエラ女学院の経営であった。
 聖ミカエラ女学院は、第一次世界大戦後の成金ブームの落とし子というべき存在だ。
 戦争景気に便乗して大金持ちになった藤乃彦左衛門がカトリックの宣教師にダマされて作った、まるで道楽の学校であったが、せちがらい現代ともなると、それなりの意味を持つようになっていた。
 それは、いわば日本社会を裏から支配する......という目的だ。
 超お嬢さん学校であるミカエラを卒業した娘たちは、それぞれ、財界、政界の重鎮の御曹司と結婚することになる。
 そのミカエラのヒエラルキーを高めて、卒業生たちをできるだけ良い家柄に嫁がせること。そのことによって、藤乃グループの経営は盤石となるというわけだ。

 お人よしの老シスターの校長を追い出して、厳しすぎるほどの校則でがんじがらめに縛りつけ、あの学校の娘たちはカタいという評判を作りあげてきた。
 日本社会を裏から支配するという目標は、着々と実現しつつあるといってもよい。
 だが、それにもかかわらず、彼女は処女であった。
 いわば、処女ゆえの残酷さで学院を支配してきたその権力たるや、北澤ゆかりの比ではない。ホンモノの女王様だといっても良いだろう。
 年齢が近いとはいえ、一介の体育教師である福地にとって、強姦するために誘い出すというのは、あまりにも難しいことなのが、わかってもらえるだろう。
 しかも、巫華は日にちを指定してきた。
 六月五日、日曜日。
 その日がなんでも、排卵予定日なのだそうだ。どこで調べたものやら。
「排卵日って、ひょっとして妊娠しやすい日じゃないのか?」
「そう。だから六月五日なのよ」
 体育教師には、巫華がなにを考えているのか理解できなかった。もともと、さほど上等の脳味噌を持っているとはいえないのに、このところその中身はすっかりザーメンで占められているのだ。
「その日、彼女はOB会の打ち合わせで、元町魔笛楼でアフタヌーン・ティーなの。三時から六時まで。でもあとの予定はフリーだから、きっと夕方になると気がゆるんでいるわ。そこをアナタが狙う......」
 自我というものが、すっかり崩壊してしまったような気分でいる彼にとって、(崩壊した自我のかわりを占めているのは、もちろん快楽だ)頼れるモノは巫華と、その小さな肉体が生みだす快楽しかない。
 それが『背徳』という名の快楽であることは承知のうえで、だ。
 一度、背徳という名の果実を味わってしまったら、もう二度とそれなしでは生きられない。なぜならば人間にとって『背徳』はもう一つの本能であるから......。
 元町魔笛楼というのは、裏通りのフランス料理店だ。
 それがどういう店かというと、場違いな足立区あたりのカップルが、バーゲンで買ったヴァレンティノでめかしこんで飛びこんだとしても、『ご予約のない方はちょっと』と断られるのがオチという、そういった類いの店だ。
 金とスノッブな会話だけにはこと欠かない種類の客が、わざとらしいインテリアと腐ったようなフランス料理を楽しみにくるという、およそ体育教師とは縁遠い存在だった。少なくともトレードマークのジャージー体操着の上下では入れない。
 いつぞや、お見合いとかいうモノをやった時に着たスーツを出すと『中国文化研究会』の少女たちにいっせいに笑われた。
 しかたがない。
 夏のボーナスをあてにしてテーラー北澤であつらえたスーツ一式を着込んで、勇躍、日曜日のフランス料理店に向かうのだった。


 高級フランス料理店でアフタヌーン・ティーだけを戴くことのできる階級というものが、この世には存在する。
 パリで修行したシェフ殿の作るムースやシャーベットと、BOPFのスリランカ紅茶か、粒の揃ったコロンビアのコーヒー。
 いくら贅沢な店だとはいえ、これで一万円はとれない。
 お一人様二千円はまったくのサーヴィスだ。本来ならば閉めているはずの時間に店をあけ、厨房に火をいれ、それだけの人間を働かせ、......もっともそれをさせるだけの金は、普段から使っているメンバーである。
「すみません、本日は貸切りでございまして」
 慇懃無礼を絵にかいたようなウェイターにとおせんぼされた福地は、ムッとしながら言う。「ミカエラのOB会だろ? 藤乃学院長に用事があるんだ。ボクは学院の教師。福地といってもらえればわかる」
 デカい図体に似合わぬスーツをジロジロ眺めて、妙になっとくしたような顔をして、ウェイターは立ち去る。
 ......なるほど、ヤクザでも刑事でもないとすると、ありゃ、確かに体育教師だ。
 彼はそう思ったのだった。
「学院長、あの、......福地という方がおみえになっておりますが。学院の教師だということで」 あたりにはムッとする香水のにおいと、オンナの匂いとがたちこめていた。
 こまめに灰皿はかえているが、この、濃すぎる香水のにおいだけはどうにもならない。
「あら、福地? だれだったかしら」
「ずいぶん身体の大きな殿方でございまして」
「そうそう、体育のセンセエだったわね。どうしたのかしら。......となりにお通しして下さる」
 巫華の計算は正しかった。
 三時から六時までのOB会の打ち合わせも、この時刻ともなると、かなりダレて、つまらないおしゃべりになっていた。
「典子さん、じゃ、あたしたちこれで」
「いいのよ、どうせつまらない用事でしょ。五分で終わるから待っていてよ」
「でも、そろそろ時間だし」
 それをきっかけにおひらきということになる。
 ぞろぞろと去ってゆくオンナたちを見送りながら、福地はボーッと突っ立っていた。ウェイターが案内してくれないのだ。
「学院長、こちら、用意しましたけど」
 あくまでも主役は彼女であった。
「お茶、いただいていったら? でも、なに? 急用なの?」
 やっと通されたのは、となりの個室だった。
 ロココ調の室内装飾にイカールのリトグラフが似合わない。
「はあ、その」
 わざと口ごもってみせる。
「......あの、実はこういう話は電話ではなにかと思ったもので。失礼だとは思ったんですが」 さっきのとは違う、けれども態度だけは同じように慇懃無礼なウェイターが立ち去るのを見送って、彼は続ける。
「学内に妙な動きがありまして」
「どういうことなの?」
 この、上品ぶったオンナが、彼は苦手なのだった。
 いつもだったら前に出ただけで、口がきけなくなる。が、今はちがう。オレには巫華がついている......。
「一部の、ほんの一部だと思うんですが、生徒たちが妙なサークルを作って、不健全な遊びに耽っているという情報を耳にしたんです」
「どういうことよ」
 聞き捨てならないセリフに、顔色がかわった学院長。
「......桃色遊戯、っていうヤツです。つまり」
 黙ってしまった学院長に、古めかしい言葉を使って、福地は今までの経過を語って聞かせる。もちろん、自分が少女たちのモルモットであることだけは隠して。
「寮の近くにその家があるんです。今日は日曜日。きっと集まっています。が、なにしろモンダイがモンダイですので、だれかに相談するというわけにも」
「あ、あなた、誰かに......?」
「いえ、めっそうもない。こんな話がよそに流れたらタイヘンですから」
 それこそ、学院長の典子がもっとも恐れていることだった。
「そう、......良くやったわ、福地センセエ」
 コーヒーが空しく醒めてゆく。彼は溶けかかったシャーベットを恨めしそうに眺めて、けれども計画がうまく運んでいるのは、嬉しかった。
 しばらく彼を無視して考えこんでいた藤乃典子がいきなりすっくと立ちあがる。
「つきあってくださる? あなたなら口がかたいでしょうから」
 もちろん、彼女は体育教師の隠された感情に気がついていた。
 女王である身分の典子としては、自分の崇拝者でないオトコを学内に置いたりはしない。いつでも自由に扱える奴隷を飼っておくという、それは安全保障のようなものだ。
 ボルボのハンドルを握って(とうぜん、一介の体育教師の車ではない。典子のものだ)、福地はあの隠れ家へと案内した。
 鈍重なノーズをまわして路地に乗りいれ、行き止まりになったてごろな場所に停車すると、隠れ家のひと部屋であかりが消えるのが見える。巫華たち、気がついたらしい。
 玄関ロビーに立っただけで、少女たちのざわめきが聞こえてくる。
 奥の、廊下をつきあたった部屋。
 さっさと後部座席から降りった典子は、怒りに燃えながら突進していった。
「あけなさいッ! ドアをあけてッ!」
 鍵がかかっているとみるや、ドンドンとたたいて叫んでいる。一瞬あたりが鎮まって、物音が聞こえなくなった。
「......福地センセエ、これ」
 まさか体当たりもできかねる。
 躊躇しているうちに、カチッと鍵が外される音。
 ゆっくりとノブをまわすと、ドアが苦もなくひらき、そして明らかにされる『桃色遊戯サークル』の秘密。


 ジョージアン趣味のシックなインテリアの居間。
 ウィリアム・モリスのピーコック模様のカヴァーがかけられたソファーに女の子が一人。ひとり掛けの椅子にも、続いたとなりの部屋のベッドにも。
 全裸の少女たちがしどけなくたむろしている光景がそこには展開されていた。
「あ、あなたたち......」
 絶句した典子。
「福地センセエ、出ていらして」
 こんな光景、オトコには見せられないと思ったのだろう。だが、福地はそのままでドアに鍵をかけてしまった。
「出てらっしゃいッ! オトコのヒトには目の毒です」
 本性をあらわにしてヒステリックに叫ぶ。
 ......ここまで来てしまえば、もう、こちらのペース。この裸の少女たち、みんなオレの味方だからな。
 かたくるしい演技の必要がなくなって、福地はニヤニヤと気楽にせせら笑って応えていた。ドアを背にもたれかかって。
「よおこそ、学院長」
 たった一人、服を身につけた少女があらわれる。
 あの、過激なスリットの緋色のチャイナ・ドレス。全裸よりもっとエロティックな、きわどい姿の巫華であった。
「ど、どういうコトなの、福地センセッ! これは......」
 聖ミカエラ女学院に勤務して六年になる福地も、初めて見る狼狽ぶりでうろたえた典子。
「つまり、そういうことさ」
 ぶっきらぼうに彼は答える。
「ふう、それにしてもスーツは疲れる。ジャージーがいちばんだ」
 ネクタイをゆめるながらぼやいている体育教師に、少女たちが愛情のこもった眼を向けているのに、典子は気がついた。
「あら、センセエにいちばん似合うのは、......裸よ。逞しいもの」
 ベッドルームからやってきた北澤ゆかりはそう言う。
「もちろん、ウチのスーツだもの、似合わないってわけじゃないけど」
「ゆ、ゆかりさん、アナタも......?」
 ミカエラ女学院に君臨していた、元女王、北澤ゆかり。そこまで魔の手がまわっていようとは、思ってもいなかったホンモノの女王、藤乃典子は絶句してしまう。
「そう。ゆかりさんも仲間。......そして、アナタも、学院長センセエもね」
 それは、歴然とまのあたりにされた『政権交替』といってもよいだろう。新しい女王を宣言した煬巫華は、ひとり、胸をはって答えるのだった。
「ゆ、許さないわよ、こんな淫らな」
 少女たちがクスクスと笑う。
「あたしたちは、何もしてないわ。淫らなコトをするのはセンセエ、あ・な・た、なの」
 もっとクスクス笑いが大きくなって、典子は明らかにバカにされているのを感じた。
「い、いったい」
 なにか言いかけたとたん、シャネルのツーピースの袖を掴まれて、背後に捩られて。身動きができなくなってしまう。
「センセエ、い、いったい」
「相手が必要でしょう? 淫らなコトをするにはね」
 いつのまにか彼はシャツまで脱ぎ捨てている。国体にも出場したというウェイトリフティングで鍛えた筋肉が躍動していた。
「痛いッ、離して、離してよッ!」
 イタリア製のパンプスが脱げて転がる。
 片方のパンプスは西條絢子が、もう片方は鈴埜菜摘がひろって続いた。そしてハンドバックは北澤ゆかりがひろい、みんなでベッドルーム。
 その異様な雰囲気に藤乃典子は混乱していた。
 なにがどうなっているのか、とても理解できない。
 忠実なしもべだったハズの体育教師(いつも、あんなに熱っぽい顔をして見とれていたじゃない)の反乱。おとなしかった生徒たちの理解しがたい行動。そして、なによりこの場をリードしているのは、香港からの転校生、煬巫華。
 彼女の転校は、信用するにあたいする、さる貿易商社の社長の紹介なのだ。香港でも有数の財閥の娘だということで、あえて入学を許可したのだが......。
「アンタはこれから犯されるんだ。みんなの前で、な」
「そ、そんな」
 わなわなと唇を震わせながら、魔の手からのがれようとする典子。
 だが、ウェイトリフティングで鍛えた男の腕にかかっては、まるでライオンに捕らえられた草食動物もさながらだった。
 少女たちがクックッと、含み笑いをしながら眺めているのが、なんとも無気味だ。
 ベッドに転がされても、まだ往生ぎわ悪く暴れている。
「乱暴にされたいのか?」
 体育教師はいきなりビンタをくらわせた。
「ひいっ......!」
 あの、快感がよみがえってくる。
 ゆかりのアナルを犯した時の快感だ。
 しかも、今、わなないているのは、ゆかりとはレベルが違うといってもいいほどのオンナ。藤乃一族の威光は十分すぎるほどに知りつくしている彼だ。
「け、警察に訴えてやるわ」
 切れた唇から血を滲ませながら訴えている典子。
「かまわないわよ。でも、OB会の役員のみなさん、どう思ったかしらね? オトコが迎えに来て、いっしょに車に乗りこんだアナタの姿」
 巫華は冷たい表情で言い放つ。
「恋人が迎えに来た、なんて思ったんじゃないかしら。それに、ふっふっ」
 いかにも楽しそうに。
「アナタは今夜、妊娠するの。......だって、いちばん妊娠しやすい日だし、福地センセエはアナタのセックスにいっぱい、ザーメンを注ぎこむから」
 まるで悪魔のような計画に、慄然とする典子。
「そうよ、そうよ。......福地センセエって、すっごい、いっぱい出すのよ、濃~いザーメンを」「いつも飲みきれないくらい」
 凍りついたように動けなくなった自分の腕に、カシャリと手錠がかけられるのを、典子は絶望的に覚えているのだった。


 全裸に剥かれて、それぞれの手足を手錠と足枷につながれて、ベッドの四隅にそれらはセットされている。
 典子はそんな恥ずかしいかたちで、少女たちと、体育教師の視線にさらされていた。
「これ、......媚薬なの。このクリームを塗ると、どんな貞節堅固なオンナでも尻をふってオトコを欲しがるようになるわ」
 小さな壜におさまった白色のものを指先にねっとりさせながら巫華は言う。
「亜硝酸アミル、......ポッパーズっていう、ゲイたちが使う一種の催淫剤があるんだけど。血管拡張剤ね。で、これはその亜硝酸アミルの効果をもっと強力にしたもの。クリトリスと膣が充血して、愛液がタップリ出て、すっごく敏感になっちゃう」
 解説をくわえながらそばに。
「催淫剤なんて、ほとんどインチキ。でも、これは明確な血管拡張作用があるの。ふふ、まっ、その効果のほどはすぐに立証されるわね」
「い、いやっ......! あ、あたし、初めてなのッ!」
「聞いた? 福地センセエ」
「ああ、見てくれよ、これ。こんなにビンビンだぜ」
 ゆかりがそれを指で確かめた。
「すごいわ。あたしが欲しいくらい」
 ゆっくりしごくと、それは揺れながら張りきって輝きを増す。やたら太くて立派なサラミ・ソーセージだった。
 女の股間にはひどく淫らな陰毛が、ざわざわと生い茂っている。
 それは、少女たちのように陰阜を覆うだけではない。ねじれた唇のまわりから、尻のほうまでも続く密林。
「い、いや、いや」
 ぺったりと白いクリームが秘肉を覆った。
「ちょっと冷たいかしら。我慢して。すぐに体温で溶けて吸収されるから」
 残ったクリームは、男のこわばりになすりつけられた。
「こんなモノは要らないみたいだけど。オトコのヒトにも効果あるのよ。ひとまわり大きくなるわ」
 楽しそうな口調であった。
「見ないで、ああ、見ないで」
 だが、かえって全員の注目を浴びてしまうような、そんな淫らなありさま。
 ジャングルのように目立つ、黒々とした陰毛が踊り狂っていた。
「学院長センセエ、ほんとに処女? だとしたら、ちょっと出血はひどいかも。でも、やたら敏感になっちゃうことだけは保証するわ」
 少女たちの見守るなかで、クリームが溶けてきた。
 まるで本物のラブ・ジュースのように垂れて流れて、べったりと。
「強姦よ、これは! 訴えてやるから」
「スキャンダルね。聖ミカエラ女学院の学院長、犯されて妊娠。......でも、相手のオトコはあくまでも合意のうえだって主張するわ。裁判では、その証拠にビデオ・テープまで提出するの。オンナが自分でお尻をふって何度も、何度もイッちゃうところが法廷で再現される、と、つまりそういうわけ」
「あ、ありえないッ、そんなコト」
「そうかしら」
 眼で合図されて、体育教師がベッドにのぼる。
「いやっ、いやっ、寄らないでッ!」
 四隅をつながれた三十女の肉体が、豊満さを誇るように悶える。が、どうにもならず、太腿のあいだに男が位置をしめる。
「そろそろ効いてきたんじゃないのか? ほら、どうだい? こんなにクリトリスが」
「ひい、ひいっ」
 指が露骨に唇を割った。
 むきだしになってしまう、赤い肉の色。
 そこにはねっとりと蜜が流れていた。ひどく充血してきたのは、誰の眼にもわかった。亜硝酸アミルという薬は狭心症の治療に使われるくらいだから、強力な効果を持っているのだ。
 クリトリスもにょっきりと、奇妙なほどのリアリティで勃起している。
「ああ、そんな、そんな」
「処女だって? よくもまあ、その年令まで後生大事に抱えこんでいたもんだ。オレがブッスリ破ってやるぜ」
「許さないわ」
 オトコは、まるで聞こえない顔。
 グロテスクな巨大サラミ・ソーセージ。その尖端の赤い肉のカタマリがよじれた肉を割って、あてがわれる。
 ひと押しで挿入されてしまいそうな状態に、全員の視線があつまる。
「ビデオの用意はいいわ。ズブッと挿れちゃって」
 どこから持ちだしたのか、ソニーの八ミリ・ビデオをかまえた梨紗(彼女はメカに強いのだ)が、昂奮したおももちで叫ぶ。
「ああ、ダメ、ダメ、そんなそんな」
 オトコはゆっくりと腰を送りこんだ。
「いやっ! いや~っ!」
 絶叫の中で、こわばりがヒーメンを割っていった。


「処女膜って、年齢がたつにつれてだんだん薄くなって、しかも弾力性がなくなって行くの。だから、もう、......一発でパチンね」
 冷ややかな眼で解説をくわえる巫華。
「わあ、オチンチンが真っ赤。すごおい」
 少女たちの熱い視線に包まれて、こわばりが。規則正しい抽送がクローズ・アップになって迫ってくる。
 ペニスは血しぶきを浴びて、ぬめぬめと光っている。
 わずか二、三度の腰の送りこみであっけなく破れてしまったヒーメンが、おびただしい出血をしているのだ。
「いやっ、いやよ、抜いて、抜いてえ~っ」
 うなされて悲鳴をあげ続けているオンナは、もはや正常な状態ではなかった。
「どう? センセエ。......ヴァージンの感想は」
「中が、このイヤらしい肉の中が、燃えるみたいに熱いんだ。べっとりと濡れているし」
「ヒーメンはどんなふうに破れたの?」
「こういうふうに、グイッと押したらピチッ......と。ああ、たまんない、いいキモチだ」
 肉が恥ずかしくも、鳴っていた。
 ギシギシとひきつれあう音すら聞こえてくるほど。ましてや、愛液と破瓜の出血とがまじった水音や、太腿があたる音は、もっと激しく響いている。
 はじめて見る、ナマの性行為。
 その迫力に息を呑んで声も出せないで、少女たちはただ、熱っぽい視線。
「いや、いやっ、見ないで、そんな、見ないでえ~っ!」
 耳のつけねまで真っ赤に染めたオンナが腰をよじっていた。
「ほら、やっぱし、キモチよくなってきたでしょ? こんなに血が出ているのに、キモチよくってたまらないなんて、なんてエッチなオンナ」
 巫華は残酷だった。
 血塗られたクリトリスを指でまさぐっている。
「ああ、ああ、......ダメ、ダメ、なにするのお」
「感じるのよ。いっぱいキモチよくなって、ヒイヒイ泣くの。なんたって、オルガスムスの中で精液を受けいれるのが、いちばん妊娠しやすいもの。ほら、ほら、どう?」
「ああ、ああ」
 巫華をのぞく少女たちの眼は、どちらかというと哀れみを含んだものであった。
 ......こんなに痛くって、かわいそう。
 そんな感情もたぶんに含まれていたものの、それがしだいに変化してゆく。というのも、見守っている視線に包まれて、女体は微妙な変化を示しはじめているから。
「ああ、ああ、ダメよ、そんなッ」
 クリトリスをまさぐられていた典子の尻が、シーツから持ちあがった。
 巫華の指使いにあわせて、くねくねと揺れる腰。
「そうだ、そうやって腰を使うんだッ、おおっ、おおっ、たまらないぜ」
 見え隠れするサラミ・ソーセージ。そのピッチが急速にたかまっていって、赤と黒のコントラストが混然一体のものとなる。
 もはや、それは強姦ではなかった。
 挿入されるペニスと、それを受ける女体。
 オトコの腰が激しく打ちつけられると、女体は下から腰をしゃくって存分に、奥まで呑みこむ。貪欲で淫らな腰使い。とっても『処女』だとは思えない。
「そんな、そんな、......ああ」
 意識的なものではないのだった。
 やめられないのだ。
 腰を使ってしまう自分が恥ずかしくって、けれど、どうしても止められない。
 セックスの部分が、まるで倍にも三倍にも腫れあがったような気分。熱っぽく火照って、カーッと燃えさかっている。
「や、やめ、やめて、......そんなあ」
 絶句してしまうほどキモチイイ。
 だが、キモチイイと妊娠してしまう。
 その恐怖感が脳裏にいっぱいにふくれあがって、だが、どうすることもできない。ただ、勝手に尻をふってオトコを、それも今までさんざん奴隷のように見下してきた、よりによって体育教師の福地のペニスを、カラダの奥深くまで受けいれてしまって。
「イッちゃってもいいのよ。存分に精液を浴びて、しっかりと子宮をザーメンで満たすの」
 悪魔のようなささやき。
 それが、どんなにキモチイイことか、今の典子にはわかるような気がする。
 この、燃えるように熱い子宮を冷やしてくれるのは、オトコのザーメンだけ。
「いや、いやっ、外に、外にして」
「うお、うおおっ、出る、ああ、いっぱい、いっぱい出るッ」
 性急に出入りしている肉棒。
「ほら、イクの。思いっきり。楽になるわ」
 もう、とても我慢できなかった。
「ああっ、イッ、イッちゃう~っ!」
 たまらず叫んでしまい、それと同時に。
 下から突きあげた腰は、ペニスを根元までくわえこんで離さなかった。あまつさえ、キュッと絞まって貪欲にむさぼる。
「イク、......おおっ、巫華、巫華、握っていてくれ! オレの根元を」
 体育教師は叫んでいた。
 射精の、その瞬間。そのほとんどを女体に収めた状態で、しかも根元を指で握られながらイクという快感は、もちろん巫華に教えられたものだったが、今の彼はそんなテクニックに病みつきなのだ。
「......出ているわ。これ、ビックンビックン、痙攣している。ザーメンが注ぎこまれている」 血濡れたサラミの根元を握って、巫華の報告。
「うん、わかる。ヒクヒクしているもの」
 背後からつながった部分を眺めていたゆかりも同意。
「センセエの、......すっごく量が多いのよね」
「ふふ、こんなにキモチヨクなっちゃって。ぜったい妊娠したわね。間違いない」
 ぐったりと動けなくなるほどの快楽の渦の底で、典子はそれらの悪魔たちのささやきを聞く。むしろ心地よいとすら思えるような敗北感のまっただなかで。
 ペニスの尖端が子宮口にぴったり圧しつけられ、発射されたザーメンがドクドクと内部に注ぎこまれている、それが手にとるようにわかる、不思議な感覚。
 あるいは、運が良ければ妊娠していないかも知れない。だが、三十年の人生でもっとも大事にしてきたものが失われてしまったことは、間違いないのだった。

「どうしてる? あの二人」
「またよお、よく、あんなに何度もできるわね」
 まだレズごっこに励んでいる梨紗と唯美をのぞく少女たちは、もうぐったり疲れている。なのに、となりでは延々とオトナたちのラブ・アフェアーが続いているのだ。
「あの、亜硝酸アミル、っていうの? ポッパーズ。スゴいのね」
「そうでもないわ。単にアソコが敏感になるだけだもの。......藤乃学院長には、もともとそういう素質があったの」
 そう説明しながら巫華はとりどりの催淫剤を並べてみせた。
「ゆかり、知ってるわよね。コレもそう」
 あのキャンディー。屋上でゆかりを絶頂にみちびく結果となった、あの紅色のキャンディーは口から摂取するだけに強力な作用を持つ。
「こっちは香水。むらむらした気分にさせるわけ。どちらかっていうと、ポッパーズみたいに皮膚感覚に訴えるものじゃなくって、欲望をそそる作用が強いの」
「オトコのヒトに使うのもあるんでしょ?」
「もちろん。......でも、オトコにとっていちばんの催淫剤は、アナタたちそのもの。薬なんて、しょせん一つのきっかけにしか過ぎないわ」
 ゆっくりと、巫華は立ちあがった。
「......あんな貞淑に見えた藤乃学院長だって、あれだけの欲望を隠し持っているんだもの。いやらしくない人間なんていやしない。聖書にはこう書いてあるでしょ?『汝、姦淫するなかれ』でも、お釈迦さまはこう言ったわ。『汝、姦淫するなかれ。でも、どうしてもしょうがなければ、せめて人妻だけはやめておけ』ってね。人間なんて、しょせんその程度のドーブツよ」
 部屋にこもった隠微な空気をいれかえようと窓をひらく巫華。レースのカーテンが揺れて風が吹きこむ。
 けれど初夏の夜気は妙に生々しくも動物的なのだった。

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まだ続くチンチン文学

『揉』の章のリンクが違います笑

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<蔵元 田中屋本店> 三年漬梅干 
17-23粒袋入 税・送料込み1320円
塩だけで漬けた梅干しです。添加物一切ナシ。豆州楽市でどうぞ

  
ポルノ雑誌の昭和史 (ちくま新書)



300円で買える
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