![]() 初出/2007-10-04 ![]() 前のエントリ「三島はあちこちにある」の続きです。 さて、伊豆には昔、海賊が住んでいた。今では、帆船に乗って髑髏のバンダナ頭に巻いたモノ好きな爺ぃがいたりするんだが、それはまあ、無関係として、だ。海賊とか水軍とかいう連中が、どこで何をやっていたのか、考えてみよう。まず、おいらの船がしょっちゅう厄介になる内浦造船さんなんだが、 |
内浦造船は、この長浜城の隣にあるわけだ。で、まことに環境のいい場所で、こんなところにマリーナでも作って、のんびり暮らしたいもんだと思うんだが、あいにくと内浦造船さんは売ってくれない。つうか、水軍・海賊の時代から住み着いてる人たちなので、これからも未来永劫、ここに住むんだろう。で、沼津とは言っても、この内浦という土地はもともと伊豆の国なので、駿河ではない。昔は君沢郡といって、三島、田方と、さらに沼津の内浦から戸田に至るまでが含まれていた。今の沼津市街は駿河の国なので、国が違うわけだ。で、西伊豆は海岸沿いに海賊の根拠地がいっぱいある。東伊豆にはあまりない。西伊豆は海岸線が複雑で隠れやすいとか、まぁ、色んな理由があるんだろう。で、今では水軍は観光名物になっているわけだ。
で、内浦造船のある浜は、北条水軍の本拠地であって、有名な安宅(あたけ)船という大型軍船があった。その地に立ってみるとすぐ判る事なんだが、自然の要塞のような場所である。
ここで北条氏と呼んでいるのか、もちろん後北条氏なんだが、そう、紛らわしい事に、北条氏というのはふたつあるわけだ。つうか、本来の北条氏は鎌倉幕府の執権をやった北条氏なんだが、後北条氏というのは、北条氏と縁もゆかりもない伊勢新九郎という男が、北条氏の本拠地である韮山を乗っ取って名乗った嘘の名前にしか過ぎない。この男は、どうも経歴がハッキリしないわけだ。いまだに生まれた年すら確定してないんだが、いちおう、こういう事になっている。
伊勢新九郎が「北条」の姓を名乗ったについては、もちろん、前北条氏の名を詐称したわけでね。北条氏というのは、アレだ。北条政子だ。
ここで注目したいのは、北条氏の出自が平氏である、という事だ。鎌倉幕府というのは源平の戦いで源氏が勝って作った源氏の政権だとみんな思っているんだが、何の事はない、女房が平氏で、その女房一族に政権を乗っ取られてしまうんだから、実に情けない。つうか、もともと島流しにするのに、源氏の勢力が強いところには流さないわけだ。伊豆は、基本的には海洋民族である平氏の土地だったので、そこに島流しにして、平氏一族の北条氏ご令嬢のハニートラップでハメられて、気がついたら勝ったのは源氏だけど、政権握っているのは平氏系の北条だったという、笑えない結果になるわけだ。 まぁ、いずれにせよ、中世の日本においては、伊豆を制した者が日本を制する、というような時代があったわけで、それだけ重要な土地だったので、江戸時代にも伊豆は幕府の直轄地、天領だった。縄文時代から続く海洋民族の本拠地であり、頼朝が旗揚げした時にも、一度は敗戦、追い詰められた挙句、海賊衆の助力によって命拾いし、鎌倉に逃げている。ちなみに、源平盛衰記によれば、頼朝が旗揚げした時にまっ先に殺されたのが、伊豆山に居を構えていたおいらの先祖の悪代官なのだそうだが、真偽のほどは明らかではない。おいらの婆さんが大正時代には伊豆の三大美人と呼ばれていた、というのと同じ、嘘臭い伝説にしか過ぎないだろう。何故、伊豆がそんなに大事なのかというと、山が多くて海に面していて、時の政権が陸路で攻め込んでも占領するのが難しいわけだ。山に籠ってゲリラ戦も出来るし、隙を見て海賊衆の手を借りて外部に脱出する事も出来る。実際、頼朝がそれをやっているわけでね。しかも、当時の伊豆では金が取れた。伊豆にはあちこちに金山がある。なので、江戸幕府も、金が取れるところは基本的には天領にしているわけだ。 で、支配者が誰になろうが、港を支配しているのは土着の人間である。日本の中央政権は常にランドパワー志向だったので、もともと海洋への関心が薄いというのもあるし、海洋民族は高い税金を取ろうとすると逃げてしまうので、支配するのが難しい。農民は逃げられないから、いくらでも高い税金を奪える。風俗嬢から高い税金が取れないので、サラリーマンから取るのと同じ原理だな。 で、やっと前回からの宿題に答えが出るわけだ。 これは、あくまでも中央政権のランドパワーが出張所を作っているだけなので、海辺には作らない。むしろ、交通の要所に作る。うっかり海辺にそんなモノを作ると、海賊たちに襲われてしまうw 監視所というのは、ちょっと離れたところに作って、安全なところから様子を窺うものなのだ。 |
小説としては
司馬遼太郎の 『箱根の坂』 があります。
ぜひ 一読を。
未完だけど隆慶一郎氏の「見知らぬ海へ」
向井水軍の向井正綱の話だけど読み応えあるぜよ('A`)
北条早雲を、もしくは後北条氏を大河ドラマでやって欲しいものですな。
池澤夏樹氏の作品に出てくる「知的で、色っぽくない女性」ってのが好きなので、美汐タンには伊豆に隠れててもらいたいです。
>北条早雲
民放では遣ったけどニッポーキョでは、まだですね。油屋になって錢の穴に油を通すとか、娯楽性の高いドラマになりそうだけど。鹿爪らしくしたところで、どうせフィクションなのだから、不明な点が多いから考証不能とかはイーワケにならない。地元が潤うから、大河ドラマは土着の物語を取り上げ、国体みたいに各都道府県を順巡りすべし。何でも良いからデッチ上げる。ん……東京が案外、困るかも。風呂場で暗殺された太田道灌か、それとも新田義貞の息子を騙し討ちにした江戸氏? 愛媛は架空の人物だけど、村上水軍の女頭領かな。千葉は八犬伝で、おK。
かつて創価学会のトップまで上り詰めた北条氏はどっちの北条氏でっか?w
北条麻妃もやはり妓名でせふか?
皆様よいお年を
熱川、山水館、「細うで繁盛記」に登場する悪い番頭も「北条」だったようなきがする。
あれで名前としての北条のイメージが悪くなった。
油商人は斉藤道三ですね。
きたじょうとほうじょうで区別してるとか…
武田も分かれてるし、北条も沢山あるよん。
沢山あるんか。それは知らんかったw
>油商人
仰る通り国盗物語です。恐らく此れも嘘っぱち。
むかし、湖西の蓬萊で「ベラ」と称するヨットに乗ってたことを思い出しました。
キール抜いて浜に乗り上げる小規模なところだったんですが、いつ行っても無風で・・
乏しい知識で帆船の腹を見ると、沈したら・・と思いますが、多分しないんでしょう。
マストに縄梯子の下で「レッコ」とか叫ぶのなら、バンダナ巻いてた方が似合うわ。
長浜に城登ってみるといいね。
中世日本の地政学がよくわかる。
源平は血筋だけじゃなくて、生き方の違いみたいね。
「吾妻鏡」第1巻 吉川弘文館が読みやすい。
石橋山の合戦でも頼朝を包囲した陣に、源氏が加わっていたり、平家が頼朝に加勢したりグダグダしてたみたいだね。
対中貿易で一儲けして勢力を伸ばしたのが平家で、一時は天下を取りかけたが、土地本位の批判勢力が頼朝をかついで決起したのが山木判官襲撃事件で、かなりドジな計画だったんで首を取ったのはいいが逃げまくったあげく安房に逃亡した次第。で、加勢した水軍は摂津渡辺党遠藤氏です。摂津渡辺党は嵯峨天皇の12番目の子供を祖とする源氏です。
摂津~伊豆半島~三浦半島~安房まで行き来する能力がある水軍は渡辺党です。オラの祖母の先祖は摂津渡辺党遠藤氏で遠藤家国はこの武装蜂起に加わり、太刀と恩賞を貰っているね。しかし、あの狭い韮山付近で源平の大喧嘩が始まったなんて愉快だね。
だからwwwwww
こんな写真をうpしてwwwwww
ami号は、マストが多いだけのw普通の新しいヨットじゃんwww
帆船風のキールボートでもないんだよwww
ただの帆船風の『FRPヨット』www横山(父)らしいなwww
ひーちゃんは、毎回言ってるけどwwwwwwww
『本物を作ってる人に対して失礼』だよねwwwwwwwww
ゴミを本物と言う男wwwwそれがひーちゃんwwwwwww
>ゴミを本物と言う男wwwwそれがひーちゃんwwwwwww
帆船の維持管理してる人と、その職人に対して失礼なんてもんじゃないwwwwwww
死ねよレベルwwwwwwwwwwwww
ただのFRPのヨットモドキジャンwwwwwwwwwwwwww
ハルが総マホガニーとかそんな船に言えよwwwwwwwwww
最近は、ちゃりんこばっかりで船のオーダーが無いみたいだけどorz
三島が内陸かというと多分そうではないのではないかと。
http://flood.firetree.net/
フラッドマップで見ると大体古地図の海岸線が再現できるんですが、
海の民が日本列島沿岸を行き来し始めたころは大体海面+20Mくらいではないかと。当時は実質は海面+5メートル前後といわれていますが、沖積が進んでいないこと前提です。
またここで海と表現される沿岸地は多くは未開発な泥濘地であったかと思われます。
でみれば三島は沿岸にあった神社です。
陸地に取り残された海岸の神社で代表的なのは、大阪の住吉神社でここは海神をまつってかつては厳島神社のように神社境内まで船で参内していたのです。源氏物語にその描写が出てきますし、境内に太鼓橋がある理由はもともと船がくぐるためです。
なに近世でもモースが大森で貝塚を発見したころの東海道線は海岸線を走っていたのです。今や深い深い内陸部になっていますが。
というわけで少なくとも江戸期以前の海岸線は現在よりかなり後退していることを念頭に置かなければなりません。
またフラッドマップで見ると本当の土地の状態や地名の起源がわかる。
関東平野内陸部になぜ浦和や八潮なんて地名があるかはそれでわかりますね。