アジアのお茶の物語

| コメント(1)


KOJ_1895.jpg

さて、今回は、お約束通りなんだが、凍頂烏龍茶とそれにまつわる奇譚を書こうと思うんだが、豆州楽市のNEWアイテムはコレです。

KOJ_1873_300.jpg KOJ_1881_300.jpg 
<ヤマセン・花いろ烏龍茶>特上ティーバッグ 2g×20 1080円(税・送料込み)
<ヤマセン・花いろ烏龍茶>特上リーフ 50g 1080円(税・送料込み)

「花いろ烏龍茶」というんだが、ひところ「花粉症に効く」と騒がれたベニフウキという品種で作られます。ベニフウキは香りが高いという特徴があって、それを特殊な製法で烏龍茶にすると、なんとも華やかな、フローラルな香りが漂うわけです。ヤマセンの直売所に入って、トウモロコシとか見ていたらコレを出されて、何気なく口に運んで驚いた。「これ、あのお茶じゃないか!」

豆州楽市がお届けします。

しばらく前まで、おいらが10年間以上、毎日飲み続けていたお茶があるわけです。タイの山奥で作っている、偽物の凍頂烏龍茶。気まぐれな観光客が時々迷い込む、ドイメーサロンという山奥の村で、こっそり作られている。安い下級品は「清々茶」という名前で、村の道端でも売っているが、この村のボスである段将軍記念館のオヤジに頼むと、冷蔵庫からとっておきの逸品を出してくれる。ネズミの糞みたいに丸まった茶葉で、かなり高価です。そんな高価な茶は、もちろんタイでは売れないし、観光客も買わない。ほぼ全量が、台湾に輸出される。実は、烏龍茶でも最上等と言われる台湾の凍頂烏龍茶とまったく同じ製法で作られているお茶で、知ってる人が飲んだらすぐにわかる。凍頂烏龍茶は台湾では150年ほど前から作られているらしい。凍頂山にお茶を持ち込んだのは福建省の武夷というところから来た中国人なんだが、台湾は1895年から日本統治下に入るので、その関係からか、凍頂烏龍茶というのは日本の緑茶に近い味です。また、台湾は長く、日本向けの緑茶も作っていました。そんな関係からか、大陸の、あの茶色い烏龍茶ではない、金色に輝くお茶で、華やかな香りが特徴だ。日本のお茶のほとんどを占めるヤブキタ種とは品種も違う。青心烏龍種という品種です。ちょっとしたクオリティだと、100gで5000円とか。とても毎日飲むわけに行かないので、諦めていたんだが、タイの偽物だったら、100gで1500円くらいなので、頑張れば毎日飲めますw というわけで、ドイメーサロンの偽凍頂烏龍茶はおいらの常用になった。

このお茶、タイの山奥で作れるんだから、雲南省あたりでも作れそうなもんだが、何故か、中国本土では作っていない。作れないのだ。台湾は絶対に、本土にこの製法を教えない。それには理由があって、中国から東南アジアにまたがる数十年の歴史が、その背景にある。

そもそも、タイの山奥でこっそりお茶を作っているのはナニモノなのか? 段将軍記念館では何故、そんなに美味しいお茶を売っているのか? 段将軍て、誰なんだ? 記念館の二階には、段希分将軍の胸像が置いてあるんだが、台座には胸像を作るために寄付をした人たちの名前が掘られているわけです。そこに、馴染みのある名前を見つけて驚いたんだが、「クンサー」です。クンサーといえば、知る人ぞ知る、伝説の麻薬王だ。CIAに追われながらゴールデン・トライアングルを転々として、阿片の栽培を業としていた。クンサー自身は、国民党の兵士とシャン族の娘の間に産まれた人物で、シャン族をまとめて解放戦線とか名乗って、山奥に自分の王国を築いた。その後、ミャンマー政府に投降して、ミャンマーに大財閥を作るんだが、既に亡くなりました。この人、CIAから目の敵にされて追われていたので、大悪人みたいに言われるんだが、元は、共産党中国と戦い続けた英雄なのだw さて、クンサーとお友だちだった段将軍なんだが、種明かしをすると、国民党の雲南軍です。

段将軍は第2次世界大戦中より、第3軍93師団の指揮官だった李文煥(Lee Wien Fan)将軍とともにタイ北部のビルマ戦線を実効支配してましたが、国民党軍が共産党軍に敗れて以降、両氏が率いるそれぞれの師団はともにミャンマーを経てタイ北部まで南下。資金難のなか麻薬製造・密輸に手を染め国際問題になった時期もありましたが、1972年にタイ国内に定住する意思を表明してタイ国軍の支配下に入り、その後は共産党ゲリラと勇敢に戦ったそうです。

クンサーは、この93師団の系統です。1950年代には、クンサーは「国民党残党と袂を分かち」とWikipediaにはあるんだが、1980年代に作られた胸像に寄付金を寄せているので、お仲間に変わりはないようだ。国民党軍と共産党軍が内戦を激しく戦った時に、この雲南軍は、共産党軍を引きつける役割を担っていた。雲南軍が激しく戦っている隙に、蒋介石は軍艦を総動員して台湾に逃げたのだ。もっとも、雲南軍は取り残されてしまう。雲南反共救国軍と名を変えてゲリラ戦を続けるんだが、台湾からの援助は遠く、タイ・ビルマ・ラオス国境を行き来しながら資金稼ぎに麻薬取引を盛んにやっていた。CIAは、反共の旗印のもとに、最初はクンサーを援助する。兵力2000を誇る、モン・タイ軍だ。ところが、クンサーが資金稼ぎに阿片栽培をやって、それがアメリカに流入して大変な事になるわけですw それであわてて方針転換して、クンサーを追うようになる。けれど、とうとう最後まで、クンサーは捕まらなかった。最終的には麻薬から手を引き、ヤンゴンに大邸宅を構える実業家として、その数奇な生涯を終えた。

一方で、お仲間の段希分将軍なんだが、クンサーが独立して離れてから後も、共産中国と戦い続けていた。タイでも、ラオスでも、中国の影響を受けた共産ゲリラが横行し、山をウロウロしていたんだが、その共産ゲリラと戦い続けていたのが、段希分将軍です。最終的には、1967年にタイ政府が黙認政策に転じ、共産党ゲリラと戦うのを条件に、彼らは難民としてタイに抱えられる身の上となる。さらにはタイ国軍の傘下に入り、ゲリラの掃討にはずいぶん貢献したようだ。けれど1970年代に入ると、共産ゲリラが弱体化し、タイの共産ゲリラも国王に投降してしまう。敵がいなくなったら、軍隊は失業ですw そんな、失業した段将軍一派に与えられた土地が、おいらの訪れたドイ・メーサロンだったわけです。

何十年も戦い続けてきた兵士たちが、やっと手に入れた安住の土地は、タイ北部、標高1000メートルを越える山奥で、そこに、彼らはまず、「桜」を植えました。おいらが初めて訪れた時にも、たわわに実るバナナと並んで、桜が満開だった。桜といっても、日本の桜と品種が違って、ヒマラヤ桜の系統のようだ。チェンマイあたりにもたまに見るんだが、並木になっているのはメーサロンだけです。きっと、桜というのは彼らにとって、やっと手に入れた平和の象徴なのだろう。そして、麻薬栽培が禁じられてしまったので、何か代替作物を探さなきゃならない。彼らは、台湾とは密かに連絡を取り合っていたので、そこでコッソリ教わったのが、凍頂烏龍茶の作り方です。

おいらが初めてメーサロンの里を訪れたのは、もう20年以上も前なんだが、段将軍が亡くなってから10年くらい経っていたか、まだインターネットの時代じゃなかったので、山のてっぺんには大きな短波の塔が建っていて、それで台湾と交信していると言っていたな。武器を手放してから、まだ数年。ずっと戦争やっていたので、何か、素手では落ち着かない、と笑っていた。タイ軍の駐屯地が村にあって、今ではタイ軍が彼らを守ってます。そして、国民党の残党どもが、山岳少数民族を雇って、烏龍茶を作っている。熱帯の高地というのは、お茶の栽培には最も適していて、本物の凍頂烏龍茶に負けない高品質の偽物が穫れるw 良く売れているようで、段将軍の息子なのか、記念館の主はベンツを乗りまわし、セントバーナードやグレートデンを飼っていた。

ところで、凍頂烏龍茶が日本でも知られるようになり、コンビニのペットボトル飲料でも売られるようになって、それでもまだ本土では作ってない、作れないわけです。けれど、日本語が読み書きできれば、作り方はネットで拾える。こちらのサイトに詳しく出てますw日本人は、こういう知識を共用しようと考える。で、豆州楽市で扱う「花いろ烏龍茶」なんだが、まさに、この凍頂烏龍茶系の味です。華やかな香りと、切れ味の良い苦味と、自然な甘み。限りなく緑茶に近い烏龍茶で、茶色い、フンドシの煮汁みたいな烏龍茶とは違う。値段はちょっと高いが、こういう物の値段というのは正直なもので、品物に間違いはないです。

コメント(1)

以前からうちの奥さんが買ってくるお茶が野次馬さんが言う凍頂烏龍茶じゃないかと疑っていましたが、やっとこの記事の「ネズミの糞」で確証しました。なくなるとヤワラーで質屋をやっている弟のつてで何人かの手を経て入手しているようです、白い半紙二枚に四角く包まれて赤い印が押してあります。タイ人はお茶の煎れ方を知らないので毎日私が煎れて二人で愛飲していますが確かにこのお茶を飲むとほかのお茶はいらなくなります。二〇年くらい前にドイメーサローンとメー・ファールアンを気まぐれ観光客の一人としてまわりましたが、野次馬さんほどしっかり見て来なかったのが今では悔やまれます。そこで年末は今タイでPromoteされているチェーン・カーンを含めてチェンラーイのあたりを旅行しようかと計画中です。

コメントする

最近のコメント







<蔵元 田中屋本店> 三年漬梅干 
17-23粒袋入 ☆メール便送料無料
塩だけで漬けた梅干しです。添加物一切ナシ。豆州楽市でどうぞ


<落合ハーブ園> なんと贅沢な、国産無農薬ハーブだけで作られた入浴剤はいかがでしょう。無添加・無着色・無香料です。


<(農)友和組合> 明治時代から愛され続けた、熱海の元祖七尾たくあん三年漬 3本入りです。


<盛田屋> 太陽と風の塩 (完全天日塩) 1kgパックです。ミネラル豊富な駿河の海水を、太陽の熱と風の力だけで作り上げた天日塩です。
ネットゲリラのTwitter
ネットゲリラのfacebook
ポルノ雑誌の昭和史 (ちくま新書)
欧米人の見た幕末日本

伊豆マラソン2014/ノーカット版

伊豆マラソン2014

チャオチャオバンビーナ

草笛リズムマシンの奇跡

帆船ライブ/スイートメモリーズ

ネットゲリラの夏祭り

ルンミーブルースバンド

チョトマテクダサイ
戦場のテディベア
on the road
追悼・宇佐英雄/柳ケ瀬ブルース

アーカイブ

  通販専用水着屋さん
  帆船Ami号
  ずっと富士山